今記事ではM3-2018春に初頒布した『カメレオン古書店の探偵』の制作に関するアレコレを書きたいと思います。
Q:なんで、今のタイミングで書くの?
A:この作品は『カルテット』関連作品として書いていたため、『カルテット』最終巻が出るまで書くのはネタバレが過ぎると考えたためです。
※以下、ネタバレを含みます。
※いつもよりゆとりがあるため、詳細に語ります。長文です。
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このお話は、
①『カルテット』とは違った雰囲気の物語
②怪盗カルテットのライバル的存在
③『カルテット 春に灯る連星』への助走
のために書いた作品です。
遡ること、2014年。
2014年!?って感じですが、2014年は『カルテット』最終話(WEB版)の公開年でして、元々シリーズを書くのが好きな私はいつも後日談を考えます。
『カルテット』での大きな伏線をどう描くか?→せっかくだから丁寧に描きたい→怪盗……探偵を描きたい!
でも、自分の技術では書けないだろうなと考えたため、妄想ネタの一つとして置いてました。
2015年。
妄想ネタの一つと考えてはいたものの、書きたい気持ちがあったため、挑戦することにしました。
『トロイメライの森』を頒布する前にキャラクター原案がありました。
設定や参考にしたビジュアルがあるだけの状態でした。(小池の奥さんもいました)
その途中で『カルテット』をいろはカルタでシリーズ化する企画が上がり、『トロイメライの森』の制作もあり、一旦横に置きました。
2016年春。
『トロイメライの森』頒布後、関西コミティアに初参加した時には第一話と第二話の初稿ができてました。
『カルテット①』があったため、また一旦横に置きました。
同年(春か秋か思い出せません;)。
CD版ですると負担が大きいためWEB版を予定してたのですが、「M3で出したい!」と思ったので、『カメレオン古書店の探偵』について瀬木凍ことせっきーに「WEB版でやるって言ってたけど、CDで頒布したい」と伝えました。
その場で承諾してくれたのは嬉しかったですね。
2017年春。
『カルテット② ブルーサファイアの瞳』初頒布時に大々的に「CV募集します!!!!」とM3のブースで宣伝ポスターを貼り、間もなくCV募集を開始しました。
M3会場に来られた方は見られたかもしれませんね。(有難いことにお誕生日席でした)
Twitterでの宣伝をたくさんして頑張った記憶があります。
その甲斐あってか、たくさんの方に注目していただき、現在担当された方と縁を結ぶことができました。
同年夏(長くて秋)。
キャストさんに収録していただき、編集開始です。(秋~春の話なのに真逆の時季でしたね;)
翌年春まで初頒布前まで延々と黙々と編集し続けました。
……と、またしても制作時間を長く取った作品でした。横に置きすぎですね(笑)
スタッフ・キャストともに誰一人欠けることなく完成できたのは、本当に嬉しかったです。(後述する『カルテット』では叶わなかったので強く感じました;)
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制作の流れは置いて。お話に関するアレコレをば。
探偵について調べていくと、大体の依頼は「ペット探し」「浮気調査」「素行調査」だと分かったので物語に取り入れました。
探偵ものと言うと殺人事件が多いのですが、リアル寄りに書きたかったので、一度だけにとどめています。
『プロローグ』
探偵小池と助手伊達のみが登場するシーン。
歩道橋の上から落ちるシーンは2014年段階から案があり、拘ったところです。
『探偵は助手に遭遇する』
ペット探し回。
以降は暗くなるので、とにかく明るく書きました。
ペット探しについてたくさん調べましたが、あまり反映されてません;
『探偵たちはアイドルに依頼される』
ボディーガード回。
軽度の性的表現について、悩みました。
今までのいろはカルタの色はポップで明るい色で、全年齢対象でした。
「キャラクターらしさ」「サークルらしさ」のどちらを取るかをメンバーに相談しましたね。
『探偵は人々を調査する』
調査と過去回。閑話と位置づけていました。
この話以降は時間を置いて書いたため、雰囲気が違うかもしれません;
『須々木商店街誘拐事件』
タイトル通りの誘拐事件回。
一番苦労したのは小池と堀夫妻の言い争うシーンでした。言い争うって難しいですね……。
編集で思ったのですが、表野がたくさん殴ってましたが入れすぎましたかね(笑)
『須々木商店街殺人事件』
タイトル通りの殺人事件回。
動機よりも証拠や殺し方に手を焼きました。
調査も大変でしたね。
ゲームのようにひとりひとりを調べるシーンも必要だとは考えましたが、あまり長くなっても良くないかなと一本道にしてしまいました。もう少し上手く書けるように努力します……。
(もう一つ言うと、伊達が会ってはいけない人物が多すぎました;)
いつだったかでも触れましたが、「俺、日常ってやつがずっと続くんだと思ってた」以下の小池の語りは好きです。
実は、どういうセリフを言わせるかを前もって決めてませんでした。
キャラクターが勝手に動き出すあの現象でしたね。
『エピローグ』
種明かし回。どこにもタイトルを載せていない回です。
このお話を聴くのと聴かないのではお話やキャラクターの印象が変わるため、そっと隠していました。(カメレオンのように!(笑))
いくつか感想を頂いたのですが、最後のセリフは『カルテット』シリーズを聴いてくださっている方には衝撃的だったようで。
にこにこしながら感想を聞いていました(笑)
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キャラクターについて。
小池 洋平>>
この物語の主人公。語り部ですね。
40代をちゃんと書くことがなかったので、40代の男性は何を話すのか?と少し調べて書いていましたが、途中から勝手に動いてましたね(笑)
伊達と反対にしたかったので、ちゃらんぽらんにしました。
最後は主人公らしく篤い男に戻ったので良かったです。
名前はとにかく普通!を目指して、聴き馴染みのある有名人とモデルにした有名人とを混ぜた名前に。
(余談ですが、聴き馴染みの~さんはご結婚されたようで! おめでとうございます!)
伊達 サトシ>>
この物語の準主人公。謎多き少年。多いですね(笑)
過去は2013年の段階で決まっていたので、どういう子に成長したのかを考えるのが楽しみだったんですが、助手という立場と過去を鑑みて……あのようにツンデレ風に。
理数系男子の文章の組み立て方が難しかったです。ふう。
『カメレオン古書店の探偵』では彼の半分しか見せていないので、もう半分(『カルテット 春に灯る連星』)を見たときのリスナーさんの反応がとても楽しみです。
名前は本名と”昔なくした片方の靴”から一文字ずつ。これ以外に候補はなかったですね。
花守 帆乃佳>>
ヒロイン的存在。伊達の癒しです。
2014年の段階では「ハナ」しか決まってなかったんですが、可愛さと包容力がある子に。
言葉には気をつけて書きました。傷つけない・包んでくれるような。しかし、芯のある発言を意識して。
名前は「ハナ(花)」から。伊達にとって、花のような存在なので。
表野 充晃>>
伊達の自称親友。表野が一番謎かもしれませんね。
設定がたっくさんあるんですが、敢えて隠して登場しています。
過去の「か」の字も出してません。半端に出すと気になるかなと。
名前は性格から。最終的にあまり飄々できなかったですが、名前も気に入っています。
堀 きらり>>
この子の運命は決まっていたので、セリフはあまり可愛くならないように描いていました。
感情移入してしまうとかなりしんどいので……。
今までにないタイプでしたが、良いキャラになったなと思います。キャストさんのお陰ですね。
ここだけの話、若者言葉がわかりません(笑)
名前はアイドルっぽくしたかったので。
堀 慎一郎(マスター)>>
優しさの陰にはどす黒い感情がある、を意識して描いてました。
誰にでもある感情だと思っています。ひとりで抱え込むのは良くないと彼を通して伝えたいと思い、キャラクターが生まれました。
実は下の名前は5話を書いたときに付きました(笑)
堀 美津子>>
調子に乗ってると痛い目を見る、を意識して描きました。
自業自得だと思うか、可哀想だと思うか。皆様はどちらでしょう。
自分第一がこの夫婦の共通点でして、自分第一を描くのに苦労しました;
名前は降ってきたので。思えば、表野の名前と似てますね;;
エキストラの人々>>
いつもは設定を考えずにノリで書いてしまいますが、どの人にもポジションがあったので、違和感のないように描きました。
どのキャラも欠けてはいけない人たちです。キャスト募集をさせていただいたときも慎重に選考しました。
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たくさん語れるぐらいに時間を掛けた物語は『カルテット』の番外編を超えて、一つの物語として完成しました。
(なので、後々『カルテット』関連作品と表記しました)
物語は『カルテット 春に灯る連星』に繋がります。
実はその後のお話が漠然と存在するのですが、描くかどうかはまだ分かりません。
……と、いつもなら言うところですが。
この前のM3-2018秋にて、
憐「なあ、わたし、カメレオンの続きが見たいわ」
※※続きをする→憐がイラスト担当→憐、無事修羅場※※
と自分の首を絞めていたので、
香坂「よし、やろう」
と迎合。
続きを描く可能性は高め、とだけ。
現実的にできるかはちょっと考えますね(笑)
というのも、『カメレオン古書店の探偵』は前述の通り、制作期間が長かった物語です。
いくら”その後のお話”があるとは言え、それを文字に書き起こし、今までのキャストさん・新しいキャストさんに演じていただくには相当のやる気・根性・スタミナが必要です。スポーツ漫画のように!
どうなるか分かりませんが、修羅の道(?)を歩いてみようと思います。
楽しく制作できるように。
それでは、この辺で。
キャストの皆さん。
誰も欠けることなく走り抜けられて、感謝しております。
皆さんのレベルが高いので、編集中自分の書いた物語ながらワクワクして聴いておりました。
やりたいことを実現できたのは皆さんのお陰です。
ありがとうございます。
スタッフの皆さん。
せっきーは時間がない中、チェックをたくさんしてくれてありがとう。
あなたのリテ出しがあって、物語がより良くなるので助かっています。
憐は慣れない作業にチャレンジしてくれてありがとう。
粘りに粘ってできたジャケットは良い物になったね。
柚子さんは作風に合わせたロゴを作ってくれてありがとう。
ロゴをお願いするとき、とても安心感があります。
塚原さんは台本の校閲をありがとうございます。
私の豆腐メンタルは赤文字を見るたび震えていました(笑)
そして、リスナーの皆さん。
皆さんの存在もあって、完成までたどり着きました。
続きは書きたいと思っているので、待てそうなら待っていただけると;;
もし、『カメレオン古書店の探偵』以外のいろはカルタ作品で琴線に触れるような作品がありましたら、聴いていただけますと幸いです。
最後に、勝手にテーマソングをご紹介。
OP『真っ白な灰になるまで、燃やし尽くせ』 ポルノグラフィティ
ED『カメレオン・レンズ』 同上
2018.12.31 香坂 真結